スマホを巡るガラス戦争

2012年 12月 21日 17 : 33 印刷する

タブレット/スマートフォンの成長には目を見張るものがあります。既にお持ちの方も多いと思いますが,困るのがむき出しになったパネルの保護。落下はもちろん,鞄やポケットの中でこすられたり,表面をしょっちゅう拭かれたりと,普通のPCパネルとは比べ物にならない過酷な環境下で使用されます。

このむき出しのパネルの,文字通り矢面となるのがガラスです。これまでガラスは重くて割れるのが当然でしたが,スマートフォンで使用されるとなると話は違ってきます。光透過率が高く,薄く,軽く,そして本体を守る強度までも求められるのです。

2011年までタブレット/スマートフォン向けの強化ガラスは米Corningの「GORILLA GLASS」によって独占されていました。その強度は驚くべきもので,上から刃物やドライバーを突き立てても割れず,曲げにも強いというガラスの常識を覆すものでした。

「GORILLA GLASS」を用いたスマートフォンの強度を試した方の動画です。

この性能が認められ「GORILLA GLASS」はスマートフォン/タブレットのガラス市場を独占します。
一方,テレビの販売数に陰りが見え,新たな市場を模索していた旭硝子は果敢にこの市場に挑み「GORILLA GLASS」を上回る性能を持つ新製品「Dragontrail」を産み出すのです。

「Dragontrail」の性能はAppleに認められ,iPad2に採用されたと言われています。「GORILLA GLASS」を採用したと言われるiPad1のパネルガラスと,iPad2のパネルガラスの強度を比較した動画がありました。「GORILLA GLASS」と「Dragontrail」の直接対決です。


両者ともに薄いガラス板とは思えない粘りを持っていますが,先に「GORILLA GLASS」が割れてしまいます。

旭硝子はこの製品でシェアの30%を目指しているそうです。スマートフォン/タブレット市場では苦戦する日本企業ですが,日本の技術なしでは優れた製品を作り出すことはできないでしょう。言い古された言葉ですが「縁の下の力持ち」は常に求められるものなのです。

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