三菱電機アドバンスソリューション2012

2012年 11月 7日 19 : 19 印刷する

11月7日~9日,三菱電機本社で開催される「三菱電機アドバンストソリューション2012」に行ってきました。

「~低炭素かつ安全・安心で豊かな社会構築に貢献する~『グローバル環境先進企業』を目指す当社の成長戦略」がテーマ。インフラから生活に至る同社製品の新たな方向性を打ち出す展示会です。

注目した光技術を順に紹介していきます。

 

①太陽光発電パネル

全量買取制度により,太陽光発電業界はバブルの様相を呈しているそうです。多くのメーカが大規模発電(メガワット)に注力する中,同社では得意とするFAの商流を活かし,工場建屋の屋上などにパネルを設置する小中容量をターゲットとする戦略を進めています。少々高くても高品質・高性能な製品を提案しており,2012年よりラインナップから多結晶タイプは姿を消し,現在は単結晶パネルのみを販売(写真は変換効率15.8%,出力261Wの最新モデル)。設置25年で80%以上の長期保証を謳います。

同社の太陽光発電パネルの生産ラインは現在フル稼働状態が続いており,納期は最短で来夏になるとのこと。しかし将来の需要が不透明なこともあり,無理な投資はせず,現在の生産ラインのキャパシティを最大限活用することで,この需要を乗り切りたいとしています。

また,現在の産業用太陽光発電ブームが過ぎれば,PV/EV連携HEMSのような次世代スマートハウスが普及すると睨んでおり,こちらの開発にも力を入れていくとしています。

 

②海底ケーブル陸上端局装置

同社は今月6日,インド・中東・欧州を結ぶ光海底ケーブルシステム「IMEWE」の波長増設を完了したと発表しました。今回10拠点に導入した装置が用いる変調方式はDPSKで,1chあたりの伝送容量は10Gb/sから40Gb/sへと増加。トータルで3.2Tb/sの回線容量を確保しました。

海底ケーブル事業には強力なベンダーとしてNECや富士通などがありますが,同社はコヒーレント技術と世界最高クラスの強力な「誤り訂正技術」により市場を開拓しています。また来年には100Gb/s製品を投入予定,2015年に400Gb/s,2019年には1Tb/sまで容量を拡大したいとしています。

③LED事業

FA事業を得意とする同社は,工場など高天井向けの照明として水銀ランプやメタルはライドランプに代わる,産業用LED照明を展開しています。価格は従来製品の数倍とかなり割高ですが,6倍の寿命や低消費電力によって販売を拡大しています。

これまで同社は照明器具に関してドイツOSRAM社と資本提携をしていましたが今年これを解消。LEDチップを生産しない同社は,その仕入れ先として現在日亜化学が最大手となっているほか,シチズンからも供給を受けているそうです。また仕入れたチップを独自の技術で再選別することで,他には無い光色の均一性を実現しており,高い評価を受けているとのことです。

また直管型LED照明についても新製品を展開しています。同社は他の大手照明器具メーカと共に直管型LED照明についてJIS規格の取得を申請しており,ここでの展示はそれに準拠したタイプで,専用の電源部を装備したアダプタと直管型LED照明を組み合わせて使用します。

現在,海外メーカを中心とした,蛍光灯のアダプタにそのまま装着できるタイプの廉価な直管型LED照明が幅を利かせていますが,このタイプはアダプタの種類によって適切な配線等をしないと発熱や発火の可能性があるといいます。同社ではアダプタとLED照明のセットで低下15,500円(直管型LEDのみ6,000円)からと,従来タイプよりも大幅に値下げすることで,新規格製品の普及を図りたいとしています。

④未来の車技術

同社は自動車産業にもETCなどの電装部品を供給していますが,将来的は本格的に自動車ビジネスに参入する可能性を踏まえ,ディスプレイを中心としたカーデバイスの試作を行なっています。正面のインパネはLEDを光源としたプロジェクタ技術を用いており,3次元的なカーブがつけられていながらも全面にピントが合うようにチューニングされています。

ドライバーがシートに座ると顔認証が行なわれ,登録されたシートポジションが準備されます。さらにスマートフォンと連携させた車の管理や車内環境の設定,シートに組まれたバイオセンサによって体調までも管理し,万一に備えます。またリアシートには裸眼3Dディスプレイを用意。同乗者を飽きさせることなく目的地へと連れて行くことができます。

そのほかにも外周を検知するセンサや,日本版GPSとも言える「準天頂衛星」を用いた精密測位システム,車載太陽光発電など多岐に渡る開発を進めており,モーターショーに出展して技術力をアピールするなど,来るべき将来の準備に余念がありません。

多くの日本の家電メーカが苦戦する中,同社が比較的順調にきているのも,こうした幅広い研究による多彩な製品ポートフォリオがあるからでしょう。これから実用化される技術,特に光技術に期待したいと思います。

 

 

 

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